■LAN配線について
LAN配線には、光ファイバーと平衡ケーブル(ツイストケーブル)による配線規定があり、
ここでは信号線が2本1組で4対8心
のツイストケーブルをLANケーブルとして説明します。
■LANケーブルの規格について
ケーブルは、米国規格協会(ANSI)が標準化した「ANSI/TIA-568」 と国際標準化機構(ISO)や国際電気標準会議(IEC) が策定した国際規格の「ISO/IEC 11801」、並びにこの日本語訳の日本産業規格(JIS)の日本工業規格「JIS X 5150」の3 つの規格があり、それぞれでカテゴリーの品質が規定されていますが、これらの規格間で大きな差はありません。国内のほとんどの製品は、米国の国家規格「ANSI/TIA-568」に基づいております。
■LANケーブルのカテゴリについて
LANケーブルは「カテゴリ」で分類され、通信速度や周波数が規定され、用途に応じた規格の製品を選択します。
最新の10Gbps光回線サービスに、CAT.5eのケーブルを使用したのでは、本来の性能は得られず、CAT.6A以上のケーブ
ルが必要となります。また、ケーブルは上位互換がありますので、上記に25/40Gbps対応のCAT.8のケーブルを使用し
ても問題は生じません。
注:IEC 11801のCAT.7/7Aコネクタには、RJ45と互換性の無い異なる形状のコネクタがあり注意が必要です。CAT.7/7Aには「TERA、GG45、ARJ45コネクタ」が用いられます。
名称 | 表記 | 配線規格名 | プラグ | 伝送規格 | 最大伝送速度 | 伝送周波数 |
カテゴリ 5e | CAT.5e | ANSI/TIA/EIA-568-B.2 | RJ45 | 1000BASE-T | 1Gbps | 100MHz |
カテゴリ6 | CAT.6 | ANSI/TIA/EIA-568-B.2-1 | RJ45 | 1000BASE-TX | 1Gbps | 250MHz |
カテゴリ6A | CAT.6A | ANSI/TIA-568-B.2-10 | RJ45 | 10GBASE-T | 10Gbps | 500MHz |
カテゴリ7 | CAT.7 | ISO/IEC 11801 | TERA/GG45/ARJ45 | 10GBASE-T | 10Gbps | 600MHz |
カテゴリ7A | CAT.7A | ISO/IEC 11801 | TERA/GG45/ARJ45 | 10GBASE-T | 10Gbps | 1000MHz |
カテゴリ8 | CAT.8 | ANSI/TIA-568.2-D | RJ45 | 40GBASE-T | 40Gbps | 2000MHz |
■シールド構造について
ノイズが通信環境に影響を与えない様、シールド保護されたSTP(Shielded Twisted Pair)ケーブルと特別なシールドが施 されていないUTP(Unshielded Twisted Pair)ケーブルとがあります。
一般的な使用環境では、シールドが問題になるような大きなノイズの影響は考えられませんので、家庭やオフィスではほ
ぼUTPケーブルが使用されています。コスト的にも安価でアースが不要という手軽さも特徴です。
一方、工場やデータセンターの様な特殊な環境では、STPが使われますが、機器を含めてアース対応が必要になります。
表記 | U/UTP | F/UTP | U/FTP |
種類 | |||
全体シールド | 無 | 有 | 無 |
ペア線シールド | 無 | 無 | 有 |
アース処理 | 不要 | 必要 | |
用途 | 家庭やオフィス | 工場やデータセンター |
また、ノイズの原因には外来雑音だけでなく同じ線内でペア線相互の漏話(クロストーク)や、
隣接する他線からの漏話(エイ
リアンクロストーク)もあり、信号品質を劣化させます。
500MHz以上の信号を伝送する10GBASE-Tではエイリアンクロスト
ークの対策が必要とされています。
全体を薄膜被膜と編組の二重にシールドされている「SF/UTP」というケーブルも存在します。
※シールドタイプのケーブルを用いる場合には、シールドモデルのコネクタをご使用ください。
e431取扱のシールド付きモデルのコネクタ一覧
■LANケーブルの導体の種類
ケーブルは対の導線が、柔軟性に優れた「より線構造」とケーブルは硬くなりますが通信の安定性に優れた「単線構造」があり、その導線の太さはUL規格で認定されたAWG(American Wire Gauge)規格で表されることが多く、ケーブルの断面積で表す日本のJIS規格とは少し異なります。その断面積とJIS規格で定めるSQ表示とは下表の互換です。
構造 | 単線 | より線 |
形状 | ||
ノイズ耐性 | 高い | 低い |
柔軟性 | 硬い | 柔らかい |
導線の太さはUL規格で認定されたAWG(American Wire Gauge)規格で表されることが多く、ケーブルの断面積で表す日本のJIS規格とは少し異なります。その断面積とJIS規格で定めるSQ表示とは下表の互換です。
LANコネクタやジャックには適用する導体径があるので必ずご確認ください。
規格(一例) | 電線の直径(㎟) | 断面積 (㎟) | JIS相当サイズ |
AWG22 | 0.64 | 0.326 | 0.3SO |
AWG23 | 0.57 | 0.258 | - |
AWG24 | 0.51 | 0.205 | 0.2SQ |
AWG25 | 0.45 | 0.162 | - |
AWG26 | 0.40 | 0.129 | - |
AWG27 | 0.36 | 0.102 | - |
AWG28 | 0.32 | 0.081 |
■ケーブルの種類
例えば、弊社のMLN-C5Eは、AWG24の単線構造で
CAT.6Aの外径4mmスリムケーブル:PLN-UU6AはAWG28(0.12mm×7本)のより線構造です。
また、ケーブルは、スタンダードタイプの他、細径のスリム型、厚さ1.5mmのフラット型、外被をPEで覆った屋外型、更にそれに架空工事向けに1.2mmの支持線付きなどの種類があります。用途に応じてご使用ください。
e431取扱のLANケーブル一覧
■施工上の注意
LAN配線の規定は先のANSI/TIAやISO/IEC11801等で定められていますが、ここでは一般的な取扱いの注意を案内します。
屋外カメラ設置などでケーブル長が100mを超え、スイッチでの延長が難しい場合は、PoE動作で電源が不要な屋外用 ギガビットエクステンダー:E69-101がお勧めです。
PoE給電による温度上昇での減衰量は、周囲温度20~40℃にて1℃当たり0.4%上昇すると言われています。
引用元:JEITA資料