いまさらの技術知識
同軸ケーブルの基礎知識
■同軸ケーブルとは
同軸ケーブル(Coaxial Cable、コアキシャルケーブルとも)は、電気通信で利用される被覆電線の一種です。
高周波(RF)製品に利用されます。断面が軸を同一にした円筒を入れ子にした形になるため「同軸ケーブル」と呼称されています。
■同軸ケーブルの種類
国内で多く用いられているテレビ用同軸ケーブルには、JIS規格品(日本)とMIL規格品(米国)の2種類があります。 ネットでかんたんe431では、どちらの規格も取扱いをしています。幹線用ケーブルを除けば、一般的には下記の太さの同軸ケーブルが使用されています。
規格名 | 地域 | 太さの表記 | 用途 |
---|---|---|---|
JIS規格 | 日本 | 4C、5C、7C 等 | 設置場所や距離など使用目的に応じて使われています |
MIL規格 | 米国 | RG59、RG6、RG11 等 | RG6/Uはケーブルテレビ局などでよく使われています |
JIS規格品の同軸ケーブルは、下記のような品名記号で表記されます
- ①衛星放送対応
- Sateliteの頭文字
- ②絶縁体外径
- 4:4mm
- 5:5mm
- 7:7mm
- ③特性インピーダンス
- C:75Ω
- D:50Ω
- ④絶縁体の材質
- 2:ポリエチレン
- F:発泡ポリエチレン
- HF:高発泡ポリエチレン
- ⑤シールドの構造
- V:1重シールド(編組線)
- B:2重シールド(編組線+アルミ箔)
- W:2重シールド(編組線+編組線)
- T:3重シールド
■同軸ケーブルの構造
同軸ケーブルは、外部導体(編組)と内部導体(心線)が一定の同心円の間隔で配置されたケーブルです。
外部導体が外からのノイズを防ぐ電磁シールドの役割を果たし、内部導体が信号を流す役割となります。
環境に配慮した、優しい素材を利用した同軸ケーブルのことです。
■同軸ケーブルの太さと伝送損失
心線を太くすれば伝送損失は少なくなりますが、特性インピーダンスを75Ωに保つために、外部導体も心線に合わせて太くなり、外径が大きくなります。ところがある工夫を施すことで、外径はそのままに心線を太くして、低損失にする方法があります。その工夫とは、絶縁体の素材です。
内部絶縁体は空気が理想(比誘電率:1)ですが、それでは心線を同心円の中心に固定出来ないため、絶縁体に使用されるポリエチレン(比誘電率:約2.3)に空気を織り交ぜて発泡状にし、比誘電率を空気に近づけることでその分心線を太くすることが可能になります。
誘電率とは、蓄える電気量の大きさを表し、真空の誘電率との比を比誘電率と云います。絶縁体としては小さいものが望まれます。
外部動体の内径をD[mm] 内部導体の直径をd[mm] 絶縁体の比誘電率をεとすると、同軸ケーブルのインピーダンスは次式で求められます。
ケーブルの種類 | 絶縁体の種類 | 中心動体の直径 (mm) |
減衰量(dB/km) | |||||||||
90MHz | 220MHz | 470MHz | 770MHz | 1300MHz | 1770MHz | 2150MHz | 2602MHz | 2681MHz | 3224MHz | |||
5C-2V | ポリエチレン | 0.8 | - | 140 | 218 | 292 | - | - | - | - | - | - |
S-5C-FB | 発泡ポリエチレン | 1.05 | 59 | 95 | 145 | 192 | 261 | 315 | 355 | 400 | 408 | 458 |
S-5C-HFB | 高発泡ポリエチレン | 1.2 | 52 | 83 | 125 | 162 | 217 | 240 | 259 | 289 | 323 | 349 |
コネクタの選び方に注意
① 3C、4C、5C等、絶縁体外径が同じ物を選びます
② コンタクトピンのサイズに注意
■電気信号の流れ方
テレビ信号のような高周波信号の特性として、心線の中心部ではなく表面に多くの電流が流れる現象が起こり、「表皮効果」と呼ばれます。この特性を利用して低コスト化を図ったケーブルもあります。
同軸ケーブルの施工には注意が必要です
75Ωの特性インピーダンスを崩さないよう、中心導体と外部導体の間隔は一定に保たなければならず、ケーブルの曲げ施工や固定には注意が必要です。ケーブルの丸型が保たれるアイテムを使いましょう。