いまさらの技術知識
光ファイバーの基礎知識
■光ファイバーケーブルの種類
光ファイバーはガラスやプラスチック等の素材で作られています。中心部の「コア」と、その周囲を覆う「クラッド」の二重構造の中を光の屈折率の違いによる反射現象にて伝送し、情報の伝達を行っています。クラッドの外径は125µm(0.125mm)であり、その太さはほぼ人間の髪の毛と同じと言われています。光信号がコアの中を伝送する形はモードと呼ばれ、大きく分けてマルチモードファイバーとシングルモードファイバーの2類があります。
MM |
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MM(マルチモード)はコア径を50µmと大きくし、複数の光信号を存在させた伝送モードです。シングルモードと比べて 伝送損失が大きく、光の入射角によって各光信号の到達時間 にズレが生じます。そのため長距離伝送には向いていない反 面、コア径が大きくて施工しやすいことや安価というメリッ トがあるため建物内などの通信用途によく利用されます。 |
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SM |
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SM(シングルモード)はコア径を10µmと小さくし、伝送モードを基本モードだけに絞り込んだ光ファイバーです。屈折や反射が抑えられて、光信号が直線的に伝送されるため、伝送損失が小さいのが特徴です。そのため、規模の大きな長距離伝送設備に適しています。しかし、コア径が小さいので扱いが難しく、ファイバ同士の接続も難しくなります。 |
コア
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信号の進み方
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伝送損失
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用途
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関連商品
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MM |
大きい |
LAN・屋内等 |
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SM |
小さい |
長距離ネット |
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■光コネクタの種類
光コネクタの種類はいくつかありますが、ここではSC型とLC型について紹介します。
- SC コネクタ
- ●最も一般的なコネクタ
- ●軽量小型で取り扱いが容易
- ●プッシュオン型で脱着がかんたん
- LCコネクタ
- ●超小型で高密度実装が可能
- (フェルール径がSCタイプの1/2:1.25mmΦ)
- ●プッシュオン型で脱着がかんたん
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■フェルールの研磨面の仕様
光ファイバーコネクタはフェルールと呼ばれている、光軸を合わせる核となる部品が入っています。このフェルールを付き合わせて光信号を接続します。フェルールの研磨面には平面、球面(PC)、斜めPC(斜め球面)等の種類が有り、用途によって必要とする反射減衰量が異なることで使い分けがされています。反射減衰量は数値が大きいほど反射光が少なく優れています。 |
SPC,UPC研磨 |
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一般的に多く用いられているPC研磨は、フェルール先端の形状を凸球面に研磨したものです。反射減衰量は25dB程度であり、ここから更に反射減衰量を改善したものがSPC研磨、UPC研磨です。これらのコネクタは青色で識別されており、互換性があります。 |
APC研磨 |
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APC研磨は凸球面に8度の角度を付けたものです。反射減衰量が多く、反射光の戻りが少ないのが特徴となっています。目視上はPC研磨と区別がつかないため、緑色で識別されています。PC研磨との互換性はありません。
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研磨面
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コネクタの色
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反射減衰量
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特徴
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PC研磨(Physical Contact) SPC研磨(Super PC) UPC研磨(UltraPC) |
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≧25dB |
端面を凸球面状に研磨したもの。 マルチモードファイバーの標準的な 研磨方法。 |
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≧40dB |
PC研磨後、さらに低反射研磨を行い反射減衰量を40dBに向上させたもの。 |
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≧50dB |
PC研磨後、さらに低反射研磨を行い反射減衰量を50dBに向上させたもの。 |
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APC研磨(UltraPC) |
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≧60dB |
端面を8度球面状に斜め研磨したもの。 |
■注意事項
APC研磨とPC研磨は接続できません |
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APC研磨とPC研磨に接続の互換性はありません。APC研磨はAPC研磨同士、PC研磨はPC研磨同士で接続してください。 APC研磨とPC研磨のコネクタを接続したい場合は変換アダプタを用い、研磨面の整合を取って接続下さい。 |
コネクタ端面はクリーニングをしてください |
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ホコリ、素手による油や皮膚組織上の汚れ、配線材などの屑、手袋などの繊維状の汚れ等は全て接続トラブルとなります。光コネクタの接続には専用のクリーナーを用い、必ず光コネクタ(フェルール)端面をクリーニングしてから接続ください。 |
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